感情に名前をつけると、変わること
今日の気分を、ひとことで言えますか。

「よかった」「いまいちだった」「まあまあだった」。考えてみると、一日の気分に使う言葉は、いくつもありません。私も長いあいだ、いい日以外は全部「イライラする」で済ませてきました。

でも日記を書きはじめて、ひとつ分かったことがあります。感情は、名前をつけてあげた分だけ片づく、ということです。


片づかないのは、感情が大きいからではありません

感情に名前をつけると、変わること

心がごちゃごちゃする日、いくら考えても答えが出ないことがありますよね。それは感情が大きすぎるからでも、自分が鈍いからでもありません。

呼ぶ名前がないからです。 名前のないものは、片づけようがない。名前のない書類はどのフォルダにも入れられないのと同じで、感情もそうなんです。


名前のない感情は、かたまりで来ます

感情に名前をつけると、変わること

名前がつく前の感情は、「なんとなく良くない」というかたまりです。大きさも形も分からないから、手のつけようがない。だから一晩じゅう、頭の中を転がりつづけます。

ただ、不思議なことがあります。そのかたまりに合う名前を見つけた瞬間——「怒っていたんじゃなくて、さみしかったんだ」——感情が少し小さくなるんです。自分を丸ごと覆っていたものが、自分が眺められるひとつの対象になる。自分と感情のあいだに、その分の距離が生まれます。

そこで今日は、日記を書きながら身につけた、名前のつけ方のコツを四つ書いてみます。


1. 「イライラ」の下を、もう一度見る

感情に名前をつけると、変わること

イライラは、感情の包み紙であることが多いんです。開けてみると、下に別のものが入っています。さみしさ、悔しさ、不安、ただの疲れ。

だから「いまイライラしている」まで書けたら、もう一度だけ聞いてみます。このイライラは、何にいちばん近いか。 分かってもらえなくてさみしいのか、自分だけ損した気がして悔しいのか、明日が心配で不安なのか。もう一歩掘った言葉のほうが、本当の名前だったりします。


2. 名前が浮かばなければ、体から探す

感情に名前をつけると、変わること

どうしても言葉が浮かばない日もあります。そんな時は、感情ではなくまず体を見ます。

いま肩がこわばっていないか。みぞおちが重くないか。ため息が続いていないか。私の場合、みぞおちが重い日は悔しさに、肩が上がっている日は緊張に近いことが多かったです。体のほうが、名前より先に知っていることがあります。


3. 混ざっていたら、両方書く

感情に名前をつけると、変わること

感情は、一度にひとつずつ来てはくれません。ありがたいのにさみしい。すっきりしたのに、どこか空っぽ。ひとつに決められなければ、決めなくていいんです。

「さみしさ半分、ありがたさ半分」。そのまま書けばいい。不思議なもので、半々と書いた瞬間、あの曖昧だった気持ちがかえって正確になります。


4. ぴったりの名前でなくていい

感情に名前をつけると、変わること

感情の言葉をたくさん知っている必要はありません。辞書にない名前でも、自分に分かればそれが名前です。

「日曜の夜の、あの気分」「母との電話を切ったあとの、あの気分」。こうして仮の名前をつけておくと、次にその感情が来た時に、見分けがつきます。見分けがつくということは、初めての出来事ではなくなる、ということです。


まとめると

  • 片づかないのは感情が大きいからではなく、呼ぶ名前がないからです
  • 名前がついた瞬間、感情は自分を覆うかたまりから、自分が眺める対象になります
  • 「イライラ」の下をもう一度見て、浮かばなければ体から探し、混ざっていたら両方書く
  • 辞書にない仮の名前も、名前です。次に見分けられれば、それでいい

今夜、いまの気分に名前をひとつだけ、つけてみてください。ぴったりでなくて大丈夫です。


ただ、これで足りない時もあります

  • 眠れない日が続く、または眠りすぎる
  • 食べるのがつらい
  • 洗う・掃除といった基本的なことができない
  • 自分を傷つけたくなる

そんな状態なら、記録で解決しようとしないでください。その時は、専門家に会うのが正解です。記録は心を整理する道具で、治療ではありません。

私は心の専門家ではありません。ただ、話す場所がなかったことのある人間です。


感情に名前をつけると、変わること

🌲 私は「名もなき森」という匿名の記録の場所をつくっています。
コメントも評価もなく、ただ書きとめるだけの場所です。
今日の気分に、名前をひとつつけてみられる場所です。
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