誰かがつらい話を切り出したとき、何と言えばいいのか分からず固まったこと、ありませんか。
私はよくあります。友人がやっとの思いで話しはじめたのに、頭の中では「何て言えばいいんだろう」ばかり回して、結局「それ、こうしてみたら?」で終わらせた夜。空気が気まずくなったのは分かっていました。でも、なぜ気まずくなったのかが分かるまでには、ずいぶんかかりました。
以前このブログで、つらい話をしたのにかえって寂しくなった話を書きました。今日はその反対側、その話を聞いていた側のお話です。
私たちは、聞き方を習っていません
考えてみると不思議です。上手に話す方法はどこでも教えるのに、つらい話の聞き方は誰も教えてくれません。だから私たちは、知っているやり方で対応します。直してあげようとするんです。
悪気があるわけではありません。むしろ逆で、大事だからこそ早く楽になってほしい。ただ、「つらい」という言葉が問題として受理された瞬間、相手は自分の心が処理の対象になったと感じてしまいます。
その人が求めていたのは、答えではありません
つらい話を切り出すには勇気が要ります。何日も迷ってようやく、という人も多い。そうやって出した言葉で求めていたのは、たいてい正解ではありません。
聞いても逃げない人。 それだけです。自分の話は重すぎなかったという確認、こんな自分でもそばにいてくれるという確認。だから、うまく聞くために大した話術は要りません。むしろ「しない」ほうが大事なんです。
そこで今日は、何度も失敗してからようやく分かった四つを書いてみます。
1. 直そうとしない
まず我慢するのはアドバイスです。「それ、こうしてみたら」「ちょっと気にしすぎじゃない?」。役に立とうとして出た言葉なのに、聞く側には「この話を早く終わらせたい」という合図として届きます。
代わりに使う言葉は、思ったより短いです。「そうだったんだ。」「それはしんどかったね。」「それで、どうなったの?」。この三つで会話は続きます。解決はその人がします。私たちの仕事は、それまで席を立たないことです。
2. 自分の話に持っていかない
「私もそういうことあった」は危ない一文です。共感のつもりで出すのに、次の文から話題がこちら側に移ってしまう。やっと話しはじめた人は、その瞬間に静かに聞き役へ戻ります。
どうしても自分の経験を渡したいなら、順番を変えます。相手の話が終わってから、「私も似たことがあるんだけど、聞く?」と尋ねる。尋ねれば、奪うのではなく差し出すことになります。
3. どちらが悪いかを決めてあげない
ここは私がいちばん間違えてきたところです。友人がつらそうなら味方をするのがいいことだと思っていました。「その人、本当におかしいよ。」すっきりして見えますが、この一言は相手の人間関係をひとつ、勝手に片づけてしまいます。あとで仲直りしたら、その話はもう私たちにはできなくなる。
逆側も同じです。「その人にも事情があったんじゃない」は、いまつらい人をひとりにする言葉です。どちらも決めずに、気持ちだけ認めればいい。「その状況なら、寂しかったよね。」人を裁かず、心だけ受け取ることです。
4. 沈黙に耐える
話が途切れると、私たちは焦ります。その数秒に耐えられなくて、何でもいいから言葉を埋めてしまう。でもその沈黙は、たいてい相手が次の言葉を選んでいる時間です。本当に言いたかったことは、その沈黙のあとに出てきます。
だから、少しだけ待ってみます。目をそらさず、急かさず。埋めなかった沈黙は空白ではなく、ここで話し続けていいという合図になります。
まとめると
- つらい話を切り出した人が求めていたのは正解ではなく、聞いても逃げない人です
- アドバイスの代わりに「そうだったんだ」「それで、どうなったの?」で十分です
- 「私もそういうことあった」は尋ねてから。奪うのではなく差し出すように
- 人を裁かず、気持ちだけ認める。沈黙は待ってあげる時間です
そして、聞いてあげられなくても大丈夫です
この前うまくできなかったことを思い出したなら、それはちゃんと聞きたい気持ちがあるということです。上手に聞ける人は、もともと上手な人ではなく、何度かすれ違ったことのある人です。
それに、自分がいま底にいるときは聞けなくていい。つらい話を受け止めるにも、心の場所が要るからです。そんなときは「今は余裕がないから、明日話してもいい?」のほうが、無理に聞くよりずっと正直な答えです。
ただ、これで足りない時もあります
- 相手が「自分を傷つけたい」と口にする
- 眠る・食べる・洗うといった基本的なことが続けてできていない
- 全部を受け止めているうちに、自分まで崩れてきている
そんな状態なら、そばで聞くことで解決しようとしないでください。その時は、専門家に会うのが正解です。聞くことは心を分け合う方法で、治療ではありません。
私は心の専門家ではありません。ただ、話す場所がなかったことのある人間です。
よりそいホットライン 0120-279-338(24時間・無料)
🌲 私は「名もなき森」という匿名の記録の場所をつくっています。
コメントも評価もなく、ただ書きとめるだけの場所です。
聞いてくれる人が見つからなかった日に、とりあえず書いておく場所です。
https://nameless-forest.com/ja?utm_source=note&utm_campaign=how-to-listen
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