つらいことがあった時、家族に話しますか。
私は話しません。友だちには話すのに、家族には話さないんです。いちばん近い人たちなのに。
長いあいだ、これがおかしいと思っていました。自分は情がないのかな、と。ところがよく見ると、家族にだけついている条件がありました。
心配が、自分に返ってきます
ひとつめの条件がこれです。友だちにつらいと言うと、友だちは心配します。そして、そこで終わります。
ところが家族に言うと、その心配が自分に返ってきます。
・母がその日から眠れなくなり
・父が何日も電話をかけてきて
・自分のいない場所で自分の話をしていて
友だちの心配は友だちの中で処理されますが、家族の心配は自分に請求されます。 ここが決定的にちがう点なんですね。
だから、荷物が二倍になります
そうなるとどうなるかというと、話す前は自分の問題ひとつだったのに、話したあとは二つになります。
もともとのつらさ、そして家族を心配させたという罪悪感。
打ち明けたら軽くなるはずなのに、かえって重くなるんです。だから一度経験すると、次からはしなくなります。経験から学んだことなんですね。情がないからではなく。
そしてこれは、家族が悪いという話ではありません。たくさん愛しているからそうなるわけですから。ただ愛が大きいほど返ってくるものも大きいという点が、この構造の困ったところです。
役割が、すでに固まっています
ふたつめの条件は役割です。
家族の中で、自分の場所はすでに決まっています。大丈夫な子。自分でなんとかする子。心配をかけない子。それが20年、30年積み重なっています。
ですから、つらいという一言がただの一言ではありません。 長く保たれてきた構図を揺らすことになります。
友だち関係は数年なので、その中で自分の姿が更新され続けます。ところが家族は更新されにくいんです。 三十を過ぎても、十五歳の頃のイメージが残っていますよね。だから新しい話を切り出すのが、より難しくなります。
そして、切ることができません
三つめがいちばん大きいです。家族には、関係を切れないという前提があります。
友だちに話して気まずくなったら、少し距離を置けばいい。時間がたてば薄れもします。
ところが家族はそれができません。気まずくなっても正月には会いますし、一生続きます。一度口にした言葉は取り消せないのに、関係のほうは続いていくわけです。
ですから話しにくいのは当たり前です。失敗したときの代償がずっと大きいからです。これは勇気の問題ではなく、計算の問題でした。
では、どうすればいいのか
三つお伝えしたいです。
ひとつ。家族を初期設定にしないでください。 私たちは、つらければ家族に話すものだと教わります。ところが上の条件を見ると、家族はむしろいちばん難しい場所です。できないことが問題なのではなく、合わない場所に無理に入れていたんですね。
ふたつ。話すなら、結論が出たあとに。 進行中に話すと、心配がずっと返ってきます。毎日電話がかかってきますから。ところが片づいたあとに、実はこんなことがあってね、はずっと楽です。心配する対象がもう過ぎていますから。
みっつ。話す前に、先にブレーキをかけてください。 助言はいらないから、知っておいてくれるだけでいい。この一行を前につけるんです。家族はたいてい何かしてあげようとしますし、それが返ってくる心配の始まりです。先に止めておくと、ずっと楽になります。
そして今はどこにも話せないなら、それでも大丈夫です。どこにも出さないより、名前のつかない場所にでも書きとめるほうがましです。
まとめると
・友だちの心配はそこで終わるが、家族の心配は自分に請求される
・だから話すと軽くなるのではなく、問題が二つになる
・家族の中の役割は更新されない。一言が古い構図を揺らす
・切れないので失敗の代償が大きい。勇気ではなく計算の問題だった
・家族を初期設定にしない。いちばん近い場所が、いちばん話しやすい場所とは限らない
・話すなら結論が出たあとに、そして助言はいらないと先に言う
ただ、これで足りない時もあります
・眠れない日が続く、または眠りすぎる
・食べるのがつらい
・洗う、掃除といった基本的なことができない
・自分を傷つけたくなる
こういう状態なら、記録で解決しようとしないでください。その時は専門家に会うのが正解です。記録は心を整理する道具であって、治療ではありません。
そして家族こそが自分をつらくさせている当事者なら、この記事の助言は当てはまりません。その時は話さないほうが正しいこともありますし、距離を置くのもひとつの方法です。そういう状況なら、ひとりで判断せず外の助けを求めてください。
私は心の専門家ではありません。ただ、話す場所がなかったことのある人間です。
🌲 私は名もなき森という匿名の記録の場所をつくっています。
コメントも評価もなく、ただ書きとめるだけの場所です。
誰も心配しない場所です。
https://nameless-forest.com/ja?utm_source=note&utm_campaign=hardest-to-tell-family
コメント 0
最初のコメントを残してみましょう。