昔は毎日連絡していた友だちなのに、今は何か月も何も言っていない間柄になった、ということはありませんか。
けんかしたわけでもありません。何かがあったわけでもない。ただ、いつのまにかそうなっていました。
ところがこれが、不思議と心に残ります。なぜなら、終わっていないからです。
終わっていないから、整理がつきません
関係がはっきり終われば、悲しくても整理はつきます。けんかして縁を切れば、つらくても終わったことは確かですから。
ところが少しずつ遠ざかるのは、ちがいます。終わったと言えないんです。
・連絡すれば、たぶん応じてくれます
・道で会えば、笑顔であいさつするでしょう
・だから、終わってはいません
でも先に連絡するには、遠くなりすぎました。この中途半端な状態がずっと残っていて、整理がつかないんです。終わりもせず、続きもしないまま。
たいていは、誰のせいでもありません
ここで私たちは、たいてい理由を探します。自分が何か悪かったのか。あの時連絡しなかったからか、と。
ところが古い関係が遠ざかるのは、たいてい誰のせいでもありません。
関係は共通の文脈の上で保たれています。同じ学校、同じ町、同じ時期の似た悩み。それがある時は、自然に連絡がとれます。
ところが人生の段階が分かれると、その文脈が消えます。一人は結婚し、一人はまだで、一人は転職し、一人は子育てをして。話すことがなくなるのではなく、一緒にいた場所がなくなるんです。
これは愛情が冷めたのではありません。ただ、重なっていた部分が減っただけです。
罪悪感は、たいてい向きがまちがっています
そして遠ざかった関係には、罪悪感がつきます。自分が先に手を離した気がするという。
ところがこの罪悪感は、たいてい片側にだけ生まれます。自分が連絡しなかったことだけ覚えていて、相手も連絡しなかったことは、あまり思い出しません。
遠ざかるのは、両方が一緒にすることです。一人が手を離して遠ざかるのではなく、二人とも少しずつ手を離したんです。ところが自分の側の手しか見えないので、自分が悪かった気がするんです。
これが分かると、罪悪感が少し軽くなります。向きがまちがっていると分かるからです。
遠ざかっても、なかったことにはなりません
ここがいちばん言いたいことです。今遠ざかったからといって、あの頃がなかったことになるわけではありません。
私たちは関係が遠ざかると、その関係まるごとを失敗と見なしがちです。今連絡しないから、あの友情はたいしたことなかったのかな、と。
ところがちがいます。あの頃、その友だちが実際に自分を支えていたなら、それは今も事実です。関係が終わったからといって、過去まで取り消されはしません。
ある関係は一生続き、ある関係はひと時だけ一緒にいます。ひと時だけだから偽物なのではありません。その時は本物でしたから。
では、どうすればいいのか
二つお伝えしたいです。
ひとつ。無理に戻そうとしなくていいです。
遠ざかったのを罪悪感で戻そうとすると、たいてい気まずくなります。文脈がなくなったのに連絡だけ戻しても、話すことがなくてまた遠ざかります。関係を保つことが目的になると、かえってつらくなります。
ふたつ。かわりに、書きとめてください。
その友だちにありがたかったこと、あの頃その人が自分にとってどんな人だったか。これを書いておくと、関係は遠ざかってもその関係が自分にくれたものは残ります。
これが、さきほど言った整理です。中途半端に引っかかっていたものが、書くと「あの頃ありがたかった人」として収まります。戻すのではなく、あるべき場所に置くことです。
そして本当に会いたければ、罪悪感ではなく、その気持ちで一度連絡してみてもいいんです。ふと思い出した、の一言でいい。だめならそれはそれで大丈夫です。
まとめると
・少しずつ遠ざかるのは、終わっていないから整理がつかない
・古い関係が遠ざかるのは、たいてい誰のせいでもない。重なっていた文脈が減ったのだ
・罪悪感はたいてい片側にだけ生まれる。遠ざかるのは両方が一緒にすること
・遠ざかっても、あの頃がなかったことにはならない。ひと時だけの関係も本物だった
・無理に戻そうとしない。保つことが目的になると、もっとつらい
・かわりに書きとめる。関係は遠ざかっても、その関係がくれたものは残る
ただ、これで足りない時もあります
・眠れない日が続く、または眠りすぎる
・食べるのがつらい
・洗う、掃除といった基本的なことができない
・自分を傷つけたくなる
こういう状態なら、記録で解決しようとしないでください。その時は専門家に会うのが正解です。記録は心を整理する道具であって、治療ではありません。
そして遠ざかったのが一人二人ではなく、まわりの人がほとんど消えて、新しく増えない状態なら、それは今日の話とはちがう問題かもしれません。その時は、ひとりで整理しようとせず助けを求めてください。
私は心の専門家ではありません。ただ、話す場所がなかったことのある人間です。
🌲 私は名もなき森という匿名の記録の場所をつくっています。
コメントも評価もなく、ただ書きとめるだけの場所です。
遠ざかった人にありがたかったことを書いておいていい場所です。
https://nameless-forest.com/ja?utm_source=note&utm_campaign=drifting-apart
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